商標権通常使用権許諾契約書

商標権通常使用権許諾契約書

商標権通常使用権許諾契約書の概要

自身の商標を他者にライセンスする際に、通常使用権を設定するための契約書です。本契約書は甲がライセンサー、乙がライセンシーという想定となっています。

ご利用の際の注意点

商標をライセンスする際には、当事者間において取り決めをする必要があることが多数あります。自身の権利をいかに活用するかは事業を大きく左右するポイントなので、権利を活用してマネタイズへとつなげるという観点だけでなく、トラブルをうまく回避するためにはどうしたらいいかという観点から契約内容を検討する必要があります。本テンプレートに記載されているチェックポイントは、その手がかりとなるものです。もっとも、チェックポイントは、「これさえ気を付けていればあらゆる場面に対応できる」というものではありません。必ず、個別の事情に応じた検討・修正をしたうえでご利用ください。

商標権通常使用権許諾契約書のチェックポイント一覧

以下の1~9に関する条項の有無と内容をチェックしてください。

  1. ライセンスの対象の特定(第1条)
  2. 通常使用権である旨の明記(第1条)
  3. 使用権の範囲についての取り決め(第2条)
  4. 対価についての取り決め(第3条)
  5. 商標の表示方法についての取り決め(第4条)
  6. 使用権の登録についての取り決め(第7条)
  7. 報告についての取り決め(第8条)
  8. 商標侵害などのトラブルへの対応(第9条)
  9. 商標についての保証(第10条)

商標権通常使用権許諾契約書の内容


商標権通常使用権許諾契約書

○○○○株式会社(以下「甲」という。)と△△△△株式会社(以下「乙」という。)とは、甲が保有する商標権に関する通常使用権を乙に許諾することに関し、契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)
甲は、乙に対し、甲の保有する下記商標権(以下「本件商標権」という。)について、通常使用権を許諾(以下「本使用許諾」という。)するものとし、乙はこれを受諾する。


(商標権の表示)
   商標登録第○○○○○○○○号
   指定商品又は指定役務
     第〇類、第〇類、第〇類
   商標 ○○○○   標準文字 ・ ロゴ

チェックポイント1 ライセンスの対象の特定

ライセンス対象を特定することがまずスタートになります。ここでしっかりと規定しておかないとトラブルの元となりますので注意が必要です、その際は登録番号だけでなく、指定役務などの区分(第〇類など)も規定しておくことが好ましいです。

チェックポイント2 通常使用権である旨の明記

ライセンスの方法についても、どういった使用が可能なのかについて当事者双方で誤解がないように明記しておくことが好ましいです。今回のケースは「通常使用権」としています。


第2条(範囲等)
1 前条により許諾された通常使用権の範囲、期間及び内容は以下の通りとする。
(1)範囲  日本国内及び、別途書面による甲の承諾を得た地域。
(2)期間  ○○○○年〇月〇日から△△△△年△月△日(ただし、本契約の期間満了1か月前までに、甲乙いずれからも本契約を更新しない旨の書面による意思表示のない限り、自動的に満了日から更に1年間更新されるものとし、以後についても同様とする。)。
(3)内容  ○○について使用(以下「本件使用」という。)。
2 甲は、前項の期間、乙に対する本使用許諾が可能となるよう、本件商標権を維持しなければならず、本権商標権を第三者へ譲渡しないものとする。
3 本契約は、甲による本件商標権の使用は妨げない。

チェックポイント3 使用権の範囲についての取り決め

商標をつかうことのできる地域的な範囲や、日時、更新の有無、「こういったイベントで使用する」「○○関連商品に使用する」など使用の態様を定めるのが一般的になります。自分がライセンサーになる場合は範囲が広すぎないか、ライセンシー側であれば狭すぎないかをしっかりと確認しましょう。こういった範囲についての規定が曖昧だと「こういう時に使うのは想定していなかった!」などと、トラブルになる可能性がありますので注意してください。

また、子会社・グループ会社などがある場合は、使用する範囲として明記するのが好ましいです(第3項参照)。


第3条(対価)
1 甲の乙に対する本使用権許諾の対価は以下の通りとする。
   イニシャルロイヤリティ   金○○万円
   ランニングロイヤリティ
本件使用に伴う純売上高(以下「本件純売上高」という。次項にて詳細を定義。)に対応したロイヤリティ比率は以下の通りとする。
   ○○万円未満の部分 本件純売上高の△△%
   ○○万円を超え、○○円未満の部分 本件純売上高の△△%
   ○○億円超の部分  本件純売上高の△△%
2 前項の本件純売上高に該当する計算対象は以下の通りとする。
(1) ○○及び○○に付随する収益
3 乙は、毎月1日から末日までに本件使用に伴う本件純売上高を翌月10日までに集計の上で書面により甲に報告するものとし、甲は、乙に対し翌月末までにかかる報告に基づき算出される第1項に定めるランニングロイヤリティ(初月においてはイニシャルロイヤリティ含む)に、消費税額を加算した金額を記載した請求書を送付する。乙は翌々月末日限り、甲の指定する下記銀行口座に振り込み支払う。振込手数料は乙の負担とする。


          銀 行 名:△△銀行 △△支店
          口座種別:
          口座番号:
          口座名義:
          名義カナ:

4 乙は、前項により乙が甲に支払った対価について、いかなる事由によっても甲に返還を請求することができない。

チェックポイント4 対価についての取り決め

ライセンスの対価についてはさまざまな取り決めがあります。本契約書ではイニシャルロイヤリティとランニングロイヤリティについて規定していますが、一括払いとする方法や定額で月額制とする方式、ミニマムロイヤリティを規定する方式などがあります。具体的に話を詰めて、どういう方式算定し、いつ、どこに、いくら支払うのかをしっかりと明記することが好ましいです。

また、商標の性質上、無効審判によりあとから無効とされてしまう可能性があります。もし商標が無効となった場合に返金する必要のないように、返還を請求できない旨の規定(第4項参照)を置くことも、(ライセンサー側のリスクコントロールの観点から)好ましいです。


第4条(商標権の表示) 乙は、甲の指定する方法にて、本件使用に適切な商標表示を行うとともに、甲の名称を表示しなければならないものとする。

チェックポイント5 商標の表示方法についての取り決め

商標を表示することは、その商標をブランディングするためだけでなく、普通名称化を防ぐことにも繋がります。「○○は、○○○○株式会社の登録商標です。」などと表示するように義務付けるなどが一般的な表示方法です。


第5条(再許諾)
乙は、事前に甲の書面による承諾を得た場合に限り、本件商標権を第三者に再許諾することができる。

第6条(商標の変更)
乙は、本件商標権の使用に際して、甲の事前に書面による許諾なしに一切の変更を加えてはならず、また、文字、図形、標章の如何を問わず一切の表示を結合させてはならない。

第7条(登録)
乙は、本契約締結後、本件商標権について、自己の費用にて通常使用権設定の登録を行うことができるものとし、甲はかかる登録手続に協力する。

チェックポイント6 使用権の登録についての取り決め

商標の通常使用権許諾契約は、契約当事者間においてはもちろん有効ですが、これはあくまで当事者間における取り決めになります。ライセンスがあったことを当事者以外(「第三者」といいます)に主張するためには特許庁に登録をする必要があります。当然ライセンシーとしては第三者に対抗できる権利としたほうが有利なため、こういった規定に注意する必要があります。


第8条(報告)
1 乙は、本件使用に関する資料を、それらが発売又は公表される前に、甲の指定する方法にて提出しなければならない。
2 乙は、本件使用の状況について、毎月末日までの分について報告書を作成し、翌月10日までに甲の指定する方法にて甲に提出しなければならない。
3 甲は、前項の報告に疑義があるときは、乙に対し、報告事項の正確性を裏付ける帳簿その他の資料の提出を求めることができるものとし、乙は、合理的な理由がない限り、これを拒否することができない。

チェックポイント7 報告についての取り決め

ライセンサーとしては、ライセンシーが実際に契約通りに運用をしているかを確認できる条項をいれるのがベターといえます。必要に応じて報告義務の頻度をかえて規定してください。その際は、報告書の提出形式まで決めるとトラブルの原因を減らすことができます。


第9条(侵害)
1 乙は、本件商標権が第三者に侵害され、又はそのおそれがある行為がなされたことを知ったときは、直ちに、甲にその旨を通知する。
2 甲は、乙より前項の通知を受けたときは、当該第三者への対応について甲乙間で協議するものとする。

チェックポイント8 商標侵害などのトラブルへの対応

商標権が侵害されている場合に、ライセンシーは侵害を排除する権限をもたないことが通常なので、権利者であるライセンサーが積極的に差止請求などのしかるべき対応をする必要があります。対応方法については、本契約書のようにライセンサーとライセンシーが協議し、解決方法を検討すると定める方法もあれば、ライセンサーが単独で解決するとする方法もあります。後者の場合、ライセンシーとしては、ライセンサーが侵害に対応しない場合においては、以下のようにロイヤリティを減額できる権利を定めるということも考えられます。

Ex.) 「甲が正当な理由なく侵害の排除を行わず、乙の使用が妨げられた場合には、乙は甲に対して第3条に定めるランニングロイヤリティを減額するよう請求することができる。」


第10条(表明保証)
甲は、乙に対して、以下の事項を表明し、保証する。
① 本契約締結時点において、本件商標が有効に登録されており、当該登録が無効である旨の審決ないし判決が存在していないこと
② 本契約締結時点において、本件商標に係る登録が無効である旨を指摘又は示唆する、いかなる通知も第三者から受領していないこと
③ 本契約締結時点において、本件商標に関して、いかなる訴訟、審判、仲裁、調停その他の手続きも開始されていないこと
④ 本契約に基づき本件商標に関する通常使用権を乙に許諾することについて、第三者との契約等の制約が存在していないこと

チェックポイント9 商標についての保証

ライセンシーとしては、ライセンスを受ける商標が登録されているか、あるいは、きちんとした手続きを経ているか、権利が維持されているかなど、トラブルの元となるような原因をできるだけ除去する必要があります。本条のように表明保証という形でライセンサーが商標をきちんと管理しているか、正当な権利を維持しているかなどということを契約内容として規定しておくことも重要です。


第11条(秘密保持)
1 甲及び乙は、本契約により相手方より開示を受けた相手方の営業上・技術上の情報について、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示又は漏洩してはならない。但し、次の各号に該当する情報については、この限りではない。
(1)相手方から開示を受けた時点で既に公知であった情報
(2)相手方からの開示後に自らの帰責事由によらず公知となった情報
(3)第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に入手した情報
(4)相手方から開示を受けた情報に依拠することなく自ら開発した情報
(5)法令又は官公庁の命令により開示を強制される情報
2 本条の規定は、本契約終了後5年間は効力を失わない。

第12条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、本契約締結時において、自ら(法人の場合は、代表者、役員又は実質的に経営を支配する者。)が暴力団、暴力団員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他反社会的勢力に該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。
2 甲又は乙の一方が前項の確約に反する事実が判明したとき、その相手方は、何らの催告もせずして、本契約を解除することができる。
3 前項の規定により、本件契約を解除した場合には、解除した当事者はこれによる相手方の損害を賠償する責めを負わない。
4 第2項の規定により、本件契約を解除した場合であっても、解除した当事者から相手方に対する損害賠償請求を妨げない。

第13条(解除・損害賠償)
1 甲及び乙は、相手方が次の各号の一に該当するときは、何らの催告を要することなく、本契約を解除し、併せて損害の賠償を請求することができる。
(1)本契約に違反し、相当な期間を定めた是正催告を行ったにもかかわらず是正されないとき
(2)自己の財産について差押え、又は仮差押えを受けたとき
(3)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始又は特別清算の申立てがあったとき
(4)合併によらず解散したとき
(5)銀行取引停止処分を受けたとき
(6)滞納処分を受けたとき
(7)その他事業の継続が著しく困難となったと認められる客観的事由が生じたとき
2 甲及び乙は、相手方の責めに帰すべき事由により、又は相手方が本契約に違反したことにより損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。

第14条(商標不使用・不適切使用による解除)
1 甲は、乙が正当な理由なくして、本契約期間中6ヶ月を超えて本件商標権を使用しないとき又は、甲が想定する用法と著しく異なる用法により不適切使用したときは、前条の規定に関わらず、ただちに契約を解除できる。
2 前項記載の不適切使用の判断は、第2条第1項の記載内容を斟酌し、甲の判断によりするものとする。

第15条(債権譲渡等の禁止)
甲及び乙は、本契約により生じるいかなる権利及び義務を、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、第三者に譲渡し、担保に供し、又は承継等してはならないものとする。

第16条(合意管轄)
本契約に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第17条(協議)
本契約に規定のない事項又は本契約の規定の解釈に疑義を生じたときは、甲乙協議の上、解決するものとする。


本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。

    年  月  日

                        甲:(住所)
                          (会社名)
                          代表取締役 ○○ △△

                        乙:(住所)
                          (会社名)
                          代表取締役 ○○ △△

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