秘密保持契約書01

秘密保持契約書01

秘密保持契約書01の概要

製品の共同研究開発のための業務提携契約を結ぶかどうかを判断するために、当事者の一方が他方に対して秘密事項を開示する場面を想定した秘密保持契約書です。秘密事項を開示する側(甲)に有利な規定ぶりとなっています。

ご利用の際の注意点

リスクをきちんとコントロールするためには、検討すべきポイントを把握したうえで、契約書を見る必要があります。本テンプレートに記載されているチェックポイントは、その手がかりとなるものです。もっとも、チェックポイントは、「これさえ気を付けていればあらゆる場面に対応できる」というものではありません。必ず、個別の事情に応じた検討・修正をしたうえでご利用ください。

秘密保持契約書01のチェックポイント一覧

以下の1~9に関する条項の有無と内容をチェックしてください。

  1. 秘密事項の開示の目的(第2条)
  2. 開示された秘密事項の目的外使用の禁止(第3条)
  3. 秘密事項の定義(第4条)
  4. 秘密事項の管理の仕方(第5条)
  5. 秘密事項の守秘義務(第6条)
  6. 秘密事項の複写・複製(第7条)
  7. 秘密事項の複写・複製(第7条)
  8. 損害賠償(第9条)
  9. 契約の有効期間(第10条)

秘密保持契約書01の内容


秘密保持契約書

株式会社○○○○(以下「甲」という。)と△△△△株式会社(以下「乙」という。)とは、□□の製品化について共同して研究、開発するに当たって、次のとおり秘密保持契約を締結する。

第1条(情報の開示)
甲及び乙は、正式に業務提携契約を締結するに先立ち、甲は、乙に対し、□□の特性及び技術について、甲の秘密事項を開示する。

第2条(情報開示の目的)
甲が乙に対して甲の秘密事項を開示するのは、□□の製品化について、甲乙が共同研究、開発するための業務提携契約締結の可否について、乙が検討するためである。


チェックポイント1 秘密事項の開示の目的

通常、秘密保持契約書では、秘密事項を開示する目的を定めたうえで、その目的以外の目的で開示された秘密事項を使用することを禁止します。

この契約書では、第2条で定めた目的が、秘密事項の目的外使用の禁止(第3条)の範囲に影響するため、第2条の目的は適切・明確に定めておく必要があります。


第3条(目的外使用の禁止)
乙は、甲より提供を受けた秘密事項を第2条の目的以外に使用してはならない。

チェックポイント2 開示された秘密事項の目的外使用の禁止

開示された秘密事項の目的外使用を禁止する規定です。

乙が第3条の規定に違反した場合、第9条によって、甲に対する損害賠償義務を負う可能性があります。


第4条(秘密事項)
1. この契約でいうところの「秘密事項」とは、甲及び乙が□□の共同研究、開発に向けて協議中である事実及び甲が乙に提供する□□製品化のためのすべてのデータであり、甲より乙に開示又は提供されるものをいう。
2. 以下のものについては、前項の「秘密事項」にはあたらないものとする。
(1) 甲より開示を受ける以前から公開され、又は周知であった情報
(2) 乙が甲より開示を受けたあと、乙の責任によらずに周知となった情報
(3) 甲から開示を受ける以前から乙が自社で有していた情報
(4) 適法な手段により乙が第三者より独自に入手していた情報

チェックポイント3 秘密事項の定義

第4条1項は、この契約書で使われている「秘密事項」という用語の定義を定めています。この定義の仕方によって、どのような事項について秘密保持契約上の義務が生じるのかが変わってくるため、「秘密事項」の定義は慎重に検討する必要があります。

2項は、秘密保持義務を課す意味がない情報を、「秘密事項」から排除しています。


第5条(秘密事項の管理)
1. 乙は、甲より提供を受けた秘密事項を厳重に管理し、保持する義務を負う。
2. 乙が甲より提供を受けた秘密事項は、必要最小限度の範囲で、乙の役員及び従業員に開示することができる。

チェックポイント4 秘密事項の管理の仕方

第5条1項は、乙が、甲から提供された秘密事項の管理・保持についていかなる義務を負うのかを定めています。管理の仕方について具体的に規定したり、「厳重に」という義務の程度を緩和したりすることで調整することもできます。

2項は、乙が、甲から提供された秘密事項を、どの範囲で、誰に対して開示できるのかを定めています。


第6条(守秘義務)
1. 乙は、甲より提供された秘密事項を第三者に漏らしてはならない。
2. 乙が甲より提供を受けた秘密事項を、乙外部の専門家、試験研究施設等に鑑定その他の目的で開示する必要がある場合は、甲に対し事前に、開示する相手方、開示の目的、開示の必要性、開示する情報の範囲を文書によって申し出、甲の書面による承諾を得なければならない。また、乙が甲の承認に基づき第三者に情報の一部を開示する場合には、乙は、第三者に対し、本契約と同様の秘密保持契約を締結しなければならない。
3. 乙が法令に基づき秘密事項の開示を義務付けられた場合には、前二項の規定は適用しない。ただし、乙は、裁判所または政府機関から開示の命令を受けた場合には、その命令を受けた日から〇日以内に、甲に対してその旨を通知するものとする。

チェックポイント5 秘密事項の守秘義務

秘密事項の開示を受ける当事者が守るべき守秘義務を定めます。

第6条1項は原則を、2項と3項は1項の例外を定めています。

2項は、甲から提供された秘密事項を外部の専門家などに鑑定などの目的で開示する必要性が生じた場合、乙は、開示する前に、開示の相手方や目的などの事項を記載した文書を甲に提出し、甲から書面による承諾を得なければならず、また、それに加えて、開示の相手方との間で、この契約書における乙の義務と同様の義務を開示の相手方に課すための秘密保持契約書を締結しなければならない旨を定めています。

3項は、乙が、法令に基づいて秘密事項の開示を義務付けられた場合について配慮した規定です。この場合は、1項と2項は適用されません。


第7条(複写・複製)
1. 乙は、甲より提供を受けた秘密事項について、これを複写・複製する場合には、事前に書面によって甲の承諾を得なければならない。
2. 乙は、甲より提供を受けた秘密事項について、これを複写・複製する場合には、甲の了解した数量を超えてはならない。

チェックポイント6 秘密事項の複写・複製

秘密事項の複写・複製に関する定めを置きます。

より柔軟に秘密事項の複写・複製を行えるようにするために、第7条1項の代わりに、「乙は、甲より提供を受けた秘密事項を、必要のある場合にのみ複写・複製することができる。」などと定めることもあります。


第8条(情報の返還・破棄)
1. 乙は、本契約期間満了の日より○日以内に、甲より提供を受けた文書、電子媒体、サンプル等の一切の情報媒体物、及び甲の承諾を受けて乙が作成した複写物・複製物等を甲に返還、又は破棄しなければならない。
2. 期間満了前であっても、以後情報の開示を受け保持する必要がなくなったことを甲乙で確認した場合も、乙は、前項の処置を行わなければならない。

チェックポイント7 秘密事項の返還・破棄

秘密事項の返還・破棄について定めます。

例えば正式な業務提携契約を締結しないこととなった場合には、甲としては、秘密保持契約の期間満了前であっても、秘密事項の返還・破棄を求めたいと考えるのが通常です。2項は、このような状況に対応するための規定です。


第9条(損害賠償)
乙は、本契約に違反して秘密事項を漏えいした場合、甲に対して、これによって生じた損害を賠償しなければならない。

チェックポイント8 損害賠償

損害賠償について定めています。

賠償するべき損害の性質を「直接かつ通常の損害」としたり、具体的な賠償上限額を定めたりすることによって、乙が負うべき損害賠償責任の範囲を限定することもあります。


第10条(有効期間)
本契約の有効期間は〇〇〇〇年〇月〇日から〇〇〇〇年〇月〇日とする。

チェックポイント9 契約の有効期間

秘密保持契約の有効期間を定めます。

ここで定めた有効期間が満了すると、乙は、第3条や第6条などに拘束されなくなり、また、第8条1項の義務を負うことになります。

なお、「〇〇の終了後〇年」といった定め方をする場合や、自動更新を定める場合もあります。


第11条(協議事項)
本契約に定めのない事項、本契約の解釈について疑義が生じたとき及び本契約の変更については、甲及び乙は、信義誠実をもって協議のうえ円満解決を図るものとする。

第12条(準拠法・合意管轄)
1. 本契約は日本法に準拠し、同法によって解釈されるものとする。
2. 本契約に関する法的紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

上記の契約が成立したことを証するため、本契約書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各々1通を所持する。

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